千寿の一周忌

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今日11月19日は、我が家のアライグマ、最愛の[千寿]の一周忌である。

早いもので、あれから一年が経ってしまった。

ラスカル
千寿は、俺が幼少の頃に 「世界名作劇場」の『あらいぐまラスカル』 を見て強く影響を受け、「大きくなったら絶対にアライグマを飼う」と心に誓った思いを、そのまま実践する形で我が家に来たアライグマなのだった。

離乳すらしていない状態で手に入れ、哺乳瓶でミルクを与えながら育てた。

どこへ行くにもカバンに入れて連れ歩き、一時間おきにお湯を探してはミルクを溶かし、哺乳瓶で与える日々。
傍から見たら怪しさ120%だ。

千寿
[自分で哺乳瓶をもってミルクを飲む姿は悩殺的だった…]

家に来た当時は650gしかなかった小動物は、わずか一年で15kgまで巨大化し、全盛期には17kgを記録したほどの巨漢に育った。

千寿
[家に来た頃の千寿。 俺の足くらいの大きさしかなかった]

ちなみに動物図鑑で 「アライグマ」 を調べると、「体重:7~8kg」 と書いてある。
その差、倍以上・・・・
洗う行為がなければ只の 「クマ」 だ。

千寿
[全盛期の頃の千寿。その大きさはハンパじゃない…]

千寿との日々は、「あらいぐまラスカル」 への疑問や怒りを認識していく日々でもあった。

まず、ラスカルの名シーンでもある、
角砂糖をもらったラスカルがミルクに漬けて洗っていたら、溶けてなくなってしまう
という場面。

あらいぐまラスカル
これを生で見てみたい!
という当たり前の衝動に駆られて、わざわざ角砂糖を買いに行き、水桶を用意した状態で千寿に与えてみると・・・・・

水には漬けずにダイレクトに口の中へ。。。

おいおいお~~い!

次に、
洗濯屋のジムからキャンディーをもらったラスカルは、器用に包み紙をほどいてキャンディーを取り出し、口いっぱいにほおばる
という場面。

当然これもライブで見てみたい!と思い、わざわざキャンディー包みした飴を探して買ってきて、千寿に与えてみると――

ビニールの包みごとダイレクトに口の中へ。。。

そして、バリバリ噛み砕いた後で、イヤそうな顔をしながら引き裂かれたビニールの包み紙を
口から出す醜い光景・・・・

こらこらこら~~!

そして、ラスカルのオープニング。
スターリングが自転車の前カゴにラスカルを入れて疾走する
というシーン。

ラスカル
これこそアライグマ飼育者の醍醐味だ!と思い、母のママチャリを借りて千寿を前カゴにセッティングし、走りだすと――

ハンドル伝いに俺の腕にしがみ付き、そのまま腕伝いに肩まで登ってきてしまった・・・・

ちょぃちょぃちょ~~い!

――てゆうか、そもそもアライグマは世間が思ってるほど洗わない。

初めて与えたものは、とりあえず水に突っ込むが、2回目以降はダイレクトに口の中に入れる。
角砂糖や飴なんて初めてあげたのに・・・・

そして、生後一年くらいで手がつけられなくなること。

よくよく考えてみると、スターリングは
ミルウォーキーに引っ越す
という大義名分のもと、生後一年が経ったラスカルをウエントワースの森に放すのだ。

あらいぐまラスカル
[問題のシーン。 ラスカルを降ろし、一目散にカヌーを漕いで消えていくスターリング]

この 「一年」 という期間は、まさに手がつけられなくなる時期に合致。
ヤツこそ、捨てられたアライグマが野生化して生態系を脅かすきっかけを作った 「お手本」!

しかも、「あらいぐまラスカル」 は、原作者のスターリング・ノースが少年時代を回想した
自叙伝である。
実話なのだ。

おのれスターリング!
アライグマの一番かわいい時期だけ刹那的に飼育して、あとは 「自然に帰す」 などという都合のいい言い訳のもとリリースしやがって。

アライグマが特定外来生物に指定されて飼育禁止になったのは、お前のせいだ!

千寿

――そして、14年間にわたり苦楽を共にしてきたアライグマの千寿は、2008年の11月19日、慌てて旅立つかのように突然逝ってしまった。

本当に苦労もしたし、たくさん幸せももらった14年間だった。

その日、病院に連れて行った千寿が俺の目の前で息を引き取り、泣きながら車に乗せてホームセンターに行き、千寿を入れる箱を買い、花屋で沢山の仏花を買い、八百屋で千寿の好きな果物を買い、ロウソクやお線香、それらを立てる仏具を買い、家に帰って温かいタオルで体を拭いてあげて、さっきの段ボールにお気に入りのバスタオルを敷いて千寿を寝かせ、買ってきた果物を入れて、千寿が見えなくなるほどお花を入れて、線香をあげて・・・・

千寿

ネットで近隣の火葬場を探して予約を入れて、あとはただひたすら千寿の横で大の大人が泣きじゃくっていた。

翌日、火葬場に行こうと思った時に、隣のお婆ちゃんから電話が鳴り、近所でうずくまっているという猫を保護させられ、とりあえず家に連れて帰り放置。

正直、そんなことに気が回らなかった。
しかし、これが後の寿喜なのである。
(この詳細はまた後日に)

仕切り直しで火葬場へ向かい、手続きを済ませ、炉に入れる台に千寿を寝かせ、旅立つ千寿に持たせるものを一緒に並べた。

大好きな果物、お腹が空かないように、いつも食べてるドッグフード、お気に入りのバスタオルと、千寿が逝った時に俺が来ていた服。

初めての場所でも、「父親」 のにおいがあれば少しは落ち着くかな?と。

首輪は外した。
リードも入れなかった。
この世では、首輪を付けて自由を奪ってしまったから、せめて 「あっち側」 へ行ったら、自由に走りまわれるように。

準備が終わると、係員が事務的に次の作業に進む。
千寿が炉に入れられるのだ。

一時間半くらい待った後、声が掛かる。

そして、炉から出てきた千寿は、何かの標本か図鑑で見たようなただの骨になってしまっていた・・・・

用意された骨壷に、泣きながら長い箸で骨を拾い、全部拾い終わると係員が蓋を閉じて包んでくれて、千寿の名前が書かれたラベルを貼られる。

千寿

「○○(局長)家 愛 千寿」
と書かれていた。

愛って?
後で分かったのだが、犬なら 「○○家 愛犬 モモ」 といった風に書かれるらしい。
アライグマは、“愛●”に該当する文字が思いつかなかったようだ・・・・

死ぬ間際は12kgあった千寿は、小さな壷に収まるくらいになってしまい、それを大事に抱えて家に帰った。

千寿の肉体までが消えてしまったのだ。

ここで俺の緊張というか、泣きながらも張り詰めていた糸が完全に切れてしまい、前日と土日も含めて一週間も会社を休んでしまった。

ポッカリ穴が開いてしまったのだ、心に。

少し落ち着いてから、千寿のお墓を注文し、四十九日にはお経を読める友人に頼んで形だけでもお墓に 「魂入れ」 をして納骨した。

千寿

前にも紹介したが、千寿のお墓は室内用の墓石。

縁もゆかりもない墓地に入れられても寂しいのでは?と思い、千寿が育ったこの家で、ずっと一緒にいれるようにと、このお墓を用意した。

あれから一年。

千寿が顔を出していた部屋の窓を、外に出るたびに見上げてしまう習慣は今でも抜けない。

ちゃんと天国に行けたのだろうか。

俺と過ごした14年間は少しは幸せだったのだろうか。

俺とめぐり合わなければ、もっと幸せな生涯を過ごせたのだろうか。

いろいろ考えてしまうが、それでも俺と千寿の14年間は確かにあったのだし、これからも千寿への感謝を忘れずに、思い出に耽りながら生きていこうと思う。

千寿の弟たちの世話もあるしね。
(にいな・真熊・寿喜の3バカ兄弟)

千寿
[にいなが初めて千寿に挨拶した日。 ビビるにいなと気にも止めない千寿…]

――千寿よ、今日はお前の好きなビールをお供えします。

生前のように一緒に晩酌しようね!

コメント

  1. 千寿くん、局長さんといた14年間、たくさん愛されてきっと幸せでしたよ・・・。
    一緒に晩酌!千寿くん、喜んでますね[絵文字:v-238]
    なんだか、胸がいっぱいになりました・・・。

  2. みーちゃん より:

    涙でコメントがうまく書けません...

  3. チロ姉 より:

    千寿君、久々のビールは美味しかったかな
    局長さんの千寿君に対する想い、ひしひしと伝わってきました
    ラスカルの名シーンの数々では笑っちゃいましたが
    読んでいくと涙ボロボロで…
    千寿君もきっと幸せやったと思います

  4. pompog より:

    ラスカルの下りでは爆笑しましたが
    うぅ……泣けた……
    これぞ笑いと涙のコラボレーション……。

    幸せな14年間でしたね。
    絶対野生でいるより幸せだったと思う!
    だって黙ってても美味しい物が食べれるし
    ビールだって飲めるし。

    私はまだモコ達を失う覚悟は出来てませんが
    必ずくるその時を、受け入れる事が出来るのか
    きっと、辛いながらもきちんと千寿くんを
    送ってあげることが出来た局長さんのように
    出来るだろうか……

    きっと、泣くだけで何にも出来ないだろうな(;_;)

    本当に幸せモノでしたね。
    千寿くん、天国で美味しいビールを飲んで
    気分良くいっぱい駆け回ってるでしょうね(*^_^*)

  5. ぷりも より:

    読みながら泣いてしまいました
    こんなにいっぱい愛情をもらって幸せだね
    天国で走りまわってる姿が目に浮かびます

    私は小学校から一緒にいたインコが高校の卒業式の日に
    天国に行った時は みんなとのお別れどころではなく
    式が終わったら即効に帰宅してしばらくそばにいました

    生きているから死は覚悟しいるのですが
    やっぱりつらいですよね 実家の愛犬は12年・・・
    私は 覚悟できるだろうか。。。

  6. ご無沙汰です。
    千寿くん、ほんとに、大切にされてて
    幸せでしたね。

    スターリンのくだり・・
    本当にわたしも同感です!!!
    ビスと暮らして、
    あのアニメがどうも、キライになりました。
    (ちなみに、アニメで思い出しましたが・・
    キャンディーキャンディーのクリンも
    アライグマでした。)

    読ませていただいて、ビスの最期が重なり
    なんとも、胸がいっぱいです。

    千寿くん、ありがとうって言ってますね。

    あ。うちは、亡くなる数日前から、食欲がガタンと
    落ちてましたが、「そばぼうろ」だけは、
    ずっと食べてくれていて、火葬する前に
    顔の周りにそばぼうろをいっぱい並べ、
    手にも、そばぼうろを持たせていました。

    なんだか、思いは同じなんですね。

    ・・また熱いものがこみ上げてきました。

    局長さん、ありがとうございます。

    また千寿くんのこと、教えてくださいね。

  7. 局長 より:

    皆さん、たくさんのコメントをありがとうございます。
    愛犬家の皆さんには、アライグマの話は興味ないかな?って思っていたのですが、
    こんなに共感してもらえて、とても嬉しいです。
    千寿も天国で喜んでくれていると思います。

    >武蔵かーちゃん

    まだ木曜日なのに深酒してしまいました…(^^;)
    そうですね。
    14年間、心から愛して育てていました。
    武蔵かーちゃんの武蔵くんへの思いと同じだと思います★

    >みーちゃん

    俺も記事を書きながら、思い出して泣いていました。
    コテっちゃんも、みーちゃんやヒョウゴ君にたくさん愛されて
    今が幸せ真っ盛りなんだと思いますよ★

    >チロ姉さん

    ラスカルと実物のアライグマとのギャップには俺も驚きの連続でした…(汗)

    千寿も幸せを感じてくれていたのなら、それで俺も幸せです。
    チロくん、キララちゃん、ゴマくんもチロ姉さんに愛されて幸せなんだと思います★

    >pompogさん

    笑いと涙…
    コラボできてました?
    (狙ってませんが…)

    モコちゃんたちを失う覚悟…
    俺も千寿が10歳を過ぎたあたりからは覚悟をしていたつもりだったんですが、
    いざ、その時になってみると、覚悟なんて出来てなかったことを痛感しました・・・・

    イヤですよね、そんな覚悟するのも。
    とにかく今は自分の「子供」たちにありったけの愛情を注いであげるだけですよね!

    千寿は天国でも飲み過ぎて、酔っ払って走り回るどころじゃないかも・・・・

    >ぷりもさん

    一緒に泣いてくれてたんですね?
    ありがとうございます・・・・

    ぷりもさんちはインコを?
    長生きだったんですね。
    ぷりもさんの卒業を見届けてから逝ったのかな。。。

    動物と暮らすには、いつかは死ぬことを覚悟しなくてはならないんだろうけど、
    そんな覚悟をすること自体、辛いことですね。
    犬も猫も、人と同じくらいの寿命があったらいいのに。

    >SONOMIさん

    SONOMIさんもアライグマを育てていたので、スターリングに対する俺の憤りは
    理解してもらえると思ってました(^^;)

    SONOMIさんは俺よりもまだ傷が癒えてないですもんね。
    まだまだしばらくは辛いですよね。

    ビスくん、食欲が落ちてたんですね。
    千寿は前日の夜から突然だったんで・・・・

    また千寿のことを紹介していこうと思います。
    元気だった頃の楽しい思い出をね。
    また遊びに来て下さいね★

  8. 静香 より:

    はじめまして
    千寿くんのことが可愛くて、覗いてみました。
    私は、今年3月にパグ(ユリアという名前の女の子)を亡くしてしまいました。
    納骨は彼女とずっとそばにいたいからしていないんですよね。。
    「室内用の墓石」を知りまして。早速購入しようとしてまから。
    涙がとまりません。。
    局長さんの言葉が私も感じた事と同じでした。
    また覗かせていただきます。
    にいなくん、真熊くん、寿喜くんを最後まで守ってください。

  9. ひかる&るる より:

    二年前のお話にコメントするのも悩みましたが、読んでいて涙が止まりませんでした。

    局長さまの沢山の愛情に包まれて千寿君も幸せだったに違いないです。

    ご冥福をお祈りしています。

    いきなりすみませんでした。

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