12月ですよ、こんにちは。
「先生も忙しさの余り猛ダッシュする」と書いて“師走”。仕事も「年内に終わらせよう」という意識の元で何かと忙しくなることでしょう。頑張りましょう。局長です。
─── さて、2018年から再開した「第二次・家づくり計画」新シリーズの続編を。

憧れのRC造(鉄筋コンクリート造)を諦め、工法を「重量鉄骨造」に方向転換後、静岡県が本社ながら横浜支店がある某住宅メーカーとの間でプランニングが始まった。
間取りや外観が固まったが、その裏側に潜む気密性・断熱性に関する課題や、予算と見積価格との隔たりという新たな壁にぶつかったことで、静岡県にある同社のモデルハウスを見学しつつ、本社で社長に直談判させられることになっていた。
【前話のおさらい】

1軒目の見学を終え、この日の“本丸”とも言うべき2軒目のモデルハウスに。
賢明な読者のアナタならピンと来たかもしれないが、すでに提案してもらっているプラン初案に対し「南側の意匠性を上げる」と外観のブラッシュアップを試みた際に「同社の施工事例にあったある意匠に着想を得て ──」と綴っていた、まさに参考にした物件である。
【初案の外観がいまいちでブラッシュアップを図った】

駐車スペースを兼ねた玄関ポーチは天井部分が鉄骨むき出し。
この武骨な印象が好きなのだが、室内側では1階の天井や2階の床面が冬は“ヒートブリッジ”で冷えそうだなと心配になってしまう。
【ヒートブリッジについてはこちらを参照】
階段も鉄骨梁のH鋼がむき出し。

本来ならデッドスペースになってしまうH鋼の厚み部分に棚を設けて収納として有効活用しているのだが、実際の生活を考えると、ここに入れる物によってインテリア性が大きく左右されてしまいそうなので要注意だと思う。
ティッシュやトイレットペーパーのストックなんかを入れたら台無しだろう。
階段を上ると2階リビングに。

天井に埋め込まれた1本のLED照明がシャレオツだが、その隣の天カセ式エアコンがイメージを損ねているように感じる。
モデルハウスとして来客時に急速空調するために、こんなハイパワーのオフィス用途の機種を導入しているのだろうか。

2枚目の外観写真に写る縦長のフィックス窓を内側から見たのがこのビュー。
こちらも壁面に等間隔に埋め込まれたキューブ状の照明が秀逸だ。
壁掛けのテレビもスッキリしていてカッコいい。
これは、キッチンの窓部分にあしらわれている目隠し用のコートライン。

採光用のこの窓の外側がちょっとしたベランダになっており、エアコンの室外機を設置したり、ゴミの一時保管に使ったりといった用途なのだが、交通量の多い道路に面していることもあり、こうした目隠しを意匠性も兼ねて設置している。
参考にしたい事例だった。
さらに階段を上って3階へ ───

贅沢なまでに広い寝室だが、着目すべきは嫁女房の後方に被っている柱部分。
鉄骨柱をむき出しにせず、断熱処理をした上で下地を組んで壁紙を貼っているのだが、太い鉄骨のスタッドだけに壁面からこれだけ室内側に突き出してしまうのだ。
大きな地震でも倒壊しない堅牢さと、圧迫される室内空間とのトレードオフの最たる事例である。
この窓も着目ポイント。

2枚目の外観写真で2階と3階に同じように設置されている窓なのだが、特筆すべきはガラスを直角につなぎ合わせいること。
普通ならコーナー部分は柱が入るべきところを、ガラスで仕上げるのは難しい技術なのだ。
まぁ、こういった大きな窓もヒートブリッジによる熱損ポイントにしかならないのだが。
最後に、同じ3階にある書斎へ。

俺が“渾身の企画書”でリクエストしている「夫婦で横並びできる2席」どころか、3席も確保されており、壁面の棚も吊戸になっている。
もはや書斎を通り越して“事務所”レベルのクオリティだが、ちょっとした「和」テイストにもなっていてシャレオツな空間だ。

企画書上での俺の理想はこういったスペース感なので、モデルハウスのそれはかなりオーバースペックな仕上がりだが、1軒目と比べるといろいろ参考になる箇所が多かった。

こちらコーナー部分も、鉄骨柱をむき出しにせずに断熱処理して壁紙を貼っている仕上げ。
寝室と同様、室内側に大きく突き出してしまっているが、重量鉄骨造の実現を夢見る当時の俺には、この突き出し具合にすらむしろ愛おしさを感じるくらいだった。
こうして、有意義な2軒のモデルハウス見学を終えたところで ───

本社へ移動して、いよいよ本題の打ち合わせに。
値引き交渉の相手となる社長の他、外断熱工法やコストダウンについての協議相手となる設計部長、施工管理部長などが待ち構えており、この日の“本丸”が夕方から火蓋を切ったのだった。
室内に突き出した柱を見て「これだけ太い柱なら地震も怖くない」と願望はさらに強くなった







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