土曜日の昼下がりに、こんにちは。
熱を出していた小倅は、木曜日に保育園に復帰したものの、その夜から再び熱が出てしまい、結局は昨日またお休みして未だ療養中です。なんてこった。局長です。
─── さて、油断していると突然再開する、コアな読者さんには刺さるらしい例のシリーズを。
そう、我が家の建て替え計画レポートである。
近い将来、必ず来ると言われている大地震が発生しても「絶対に倒壊しない家」を目指して、2008年に“第一次・家づくり”を開始した俺は、まずは建築工法の選択に取り掛かっていた。
【代表的な建築工法】
- 木造
├ ①木造軸組工法(木軸在来工法)
└ ②2×4(ツーバイフォー)工法 - 鉄骨造
├ ③重量鉄骨造
└ ④軽量鉄骨造 - 鉄筋コンクリート造(RC造)
├ ⑤ラーメン構造
└ ⑥壁式構造
一般的に分類すると上記6種類ある建築工法の中から、以下の順位で希望を立てた俺は、さっそくそれぞれの工法に強い建築家を探し始めた。
- 1位RC造|⑥壁式構造
- 2位鉄骨造|④重量鉄骨
- 3位鉄骨造|⑤軽量鉄骨
- 4位木 造|②2×4工法
これまで仕事上の取材や出版社を介して何人かの建築家との繋がりはあったのだが、RC造に強い人はおらず、軒並み上記①の「木軸在来工法」が専門であった。
それだけこの工法が日本建築の王道なのだが。
では、ここまでの我が家の建て替え計画レポートを読んで、きっと建築についての興味がかき立てられているであろう賢明な読者のアナタのために、上記の6工法についてそれぞれの特徴を詳しく説明していこう。
木の柱と梁で骨組みを造り、斜めに筋交いを通して強度を増す工法。
以前は木材の先端にホゾやミエ加工をして、木材同士を接合していたので、大工の技量に依存してしまっていたが、最近では木材メーカーや木工所でプレカットされた木材同士を、金具で接合する工法が一般的に。
- 設計の自由度が高い。
建物の四隅や、中心部に近い大黒柱など、構造上で外してはいけない箇所を残しておけば、間仕切り壁をぶち抜いて間取りを変更したり、増築したりとリフォームも容易。 - 建築コストが安い。
伝統的・代表的な工法のため、対応できる大工や工務店が多く、部材の調達コストも抑えられる。
- 大工職人や工務店の技術や熟練度に左右されやすい。
- シロアリ被害が発生することが多いため、事前の防止策や定期的なメンテナンスが必要。
- 一条工務店
- 積水ハウス(シャーウッド)
- タマホーム
- 住友林業
ホームセンターでもよく見る2インチ×4インチの材木で枠を組み、合板などのパネルを張り、薄い箱型形状を造り、それを床の上に四方の「壁」として立て、さらには天井(上の階の床)を乗せて「箱」を造る工法。
「升」と同じ原理。
壁という「面」で建物を支えるため、木軸在来工法と比べて耐震性が高い。
「モノコック構造」とも呼ぶ。
- 面で支えるモノコック構造により耐震性能が高い。
木軸在来工法と比べて1.5~2倍の耐力がある。 - 箱型なので気密性・断熱性が高く、空気の流れも遮断するため耐火性も高い。
- 木材やパネルが規格化され工場で生産するため、品質が安定し、大工や工務店の技量に依存することがない。
- 多くの壁が必要となり、窓などの開口部を開けられない場所が出るなどの制約が多く、間取りや増改築の自由度は低い。
- 日本ではまだ歴史が浅く、施工できる工務店やハウスメーカーは限られてしまう。
- 三井ホーム(2×6工法)
- ミサワホーム(2×6工法)
- セキスイハイム(2×6工法)
「鉄骨ラーメン構造」とも呼ばれる。
ラーメンとは、豚骨醤油や家系とは1ミリも関係なく、ドイツ語で額縁や枠という意味。
厚さ6ミリ以上の鉄骨を使用し、柱と梁で骨組みを造る工法。
むしろ一般住宅よりも、オフィスビルや中高層マンションなどに多用される。
- 材料が鉄のため耐久性が高く、耐震性にも優れている。
- 壁ではなく柱と梁で支える構造のため、広い空間を造ることや大開口の窓を設置することが可能。
- 鉄骨は工場生産のため、品質も安定し、職人の技量に依存しない。
- 大きな柱を使用するため、家の四隅に柱部分が出っ張ってしまう。
- 壁厚も大きくなるため、部屋の内寸法が少し狭くなる。
- 木材と比べて材料費も工事費も高いため、総じて高コストとなる。
- ヘーベルハウス(terra craft)
- 積水ハウス(BIENA)
厚さ6ミリ以下の鉄骨を使用する以外は、木軸在来工法と同じ構造。
鉄骨の柱と梁で骨組みを造り、筋交いの代わりにブレースと呼ばれる細い鉄鋼の棒をタスキ掛けして強度をもたせる工法。
材料が木材から鉄骨に変わっただけ。
- 鉄骨は工場生産のため、品質も安定し、職人の技量に依存しない。
- 何よりシロアリ被害が発生しなく、腐るなどのリスクもない。
- 木軸在来工法と比べて、材質的に耐震性も高く、火災保険が木造よりも安くなる。
- 熱伝導率が木材よりも高いため、断熱性能が下がる。
外張り断熱などの対策を施さないと、特に柱周りは冷気や暖気が思い切り伝ってしまう。 - 防錆処理も必要。
- 木材と比べて材料費も工事費も高いため、総じて高コストとなる。
- 大和ハウス
- トヨタホーム
- ヘーベルハウス
- セキスイハイム
RC造は、鉄筋で骨組みを作り、コンパネと呼ばれるべニア板などの型枠で囲いコンクリートを流し込んで固める工法。
鉄筋は引っ張られる力に強いが、押される力に弱いく、コンクリートは引っ張られる力に弱いが、押される力には強い ── といった互いの弱みと強みを補い合って強度を増している。
RCラーメン構造の場合は、鉄筋で柱となる縦の骨組みと、梁となる横の骨組みを作り、それを型枠で囲いコンクリートで固め、その後に壁を作る。
この柱と梁は、建物の規模によりいくらでも太くできるので、ビルやマンションにはこの工法が用いられる。
- 火災に強い。外気や雨にも強い。
- 耐震性や遮音性に優れている。
- 大空間、大開口が可能。
- あらゆる工法の中でも耐震性や構造としての強度が最強のため、高層建築も可能。
- 室内に柱や梁が出っ張って凹凸ができてしまう。
- 壁厚も大きくなるため、部屋の内寸法が狭くなり圧迫感も出てしまう。
- 三菱地所ホーム
ラーメン構造が鉄筋で柱と梁を組むのに対し、鉄筋で壁の骨組みを作り、型枠で囲いコンクリートを流し込む工法。
木造の2×4工法のように、耐力壁で建物を支える。
- 火災に強い。外気や雨にも強い。
- 耐震性や遮音性に優れている。
- RCラーメン構造や重量鉄骨造のように、室内へ柱や梁が出っ張らないためデットスペースができにくい。
- 木造の2×4工法と同様、耐力壁で建物を支えているため、間取りの制約が大きい。
- 壁をぶち抜くリフォーム・リノベーションなどの自由度はラーメン構造よりも低い。
- 大成建設ハウジング
- レスコハウス
- 三菱地所ホーム
─── ということで、いずれも一長一短な側面もありつつ、施主が求める家の性能によってニーズも異なるので、こうして大手のハウスメーカーがそれぞれ採用している。
この後、2008年当時の俺がどういった選択をしていくのかは、また次回以降に。
工法について悩んでいた2008年当時の建て替え計画にクリックを
コメント
過去一くらい時間を要した⁉️
反面、全く頭に入って来なかった私、なんていう事でしょう。
😅
ラーメンが食べるラーメンとは全く違う事はよく分かりました。
うちは大和ハウスですが、何構造なんだろ。
局長さんは、よくヘーベルハウスの家が欲しいと言ってましたよね。
新築の家に住みたいです。
小倅ちゃん、また熱出ちゃったんですね。お大事にしてください!
細かく丁寧で、これを整理配置構築して書いた局長さんマジすごいです。動物ブログの域越えてますね😂自分やばい事に難解過ぎて読み直さないと頭に入っていかない〜😂本当勉強になります!いつか住んだ鉄筋とかはこういうことか〜と部屋が暑い理由や管理の上で気をつけることも勉強になります!
一家に局長さんいる家庭は安心で頼りになりますね☺
やっぱ家って後になればなるほど技術も質も家電のようにより新しいから時期に迷いますよね🧐
それぞれにメリットデメリットがあって、知れば知るほどどれを選んだらいいか
迷ってしまいますね。
自分が家を建てる前に読んでおきたかった気もするし、中途半端に知識を持つと
工務店やデザイナーを困らせることになったかもしれないから、今で良かった
という気もしました。
2008年当時のお話だから、今の家とは違う考えってことでしょうか?
今の家の話に追いつく頃には、新居が完成してるかもしれませんね。
最後写真のマグちゃん可愛い♡
面白いです!
どの建築系ブログより読み応えがあり、勉強になります。(色々なシリーズの中で実は1番好きですw)