木曜日の昼下がりに、こんにちは。
伊豆諸島に猛威を振りまいている台風22号は、ようやくピークを過ぎたでしょうか。被害は甚大でしょうが、せめて人的被害がないことを願うばかりです。局長です。
─── さて、少しばかり空いてしまったが「自宅の建て替え」レポートの続編を。

ヘーベルハウスで、掟破りのミサワホームの「蔵」を実現するために、直角三角形の勾配屋根「Lハット」を使って天井高を上げたスケルトン空間の状態で竣工し、引き渡し後に自分で大工工事を手配して「蔵」を造作する ───

こんな計画でヘーベルハウスでのプランニングが始まり、見積りや外観パースだけでなく、地盤調査まで進行していたが、「蔵」部分の構造を詰めていくために必要な展開図をいくら要求しても頑なに出してくれないことに、俺の中で少しずつ疑念が大きくなっていた。
【前話のおさらい】
それどころか、単にスケルトンで構築するだけの部屋についても、あれこれと自社のレギュレーションによる仕様や制約を小出しにしてくるように。

俺がスケルトン空間に対して、どういった形で「蔵」を造作しようとしているのかは何度となく伝えているので、同社のレギュレーションがその計画にどう影響してしまうのかは、設計士も営業担当もよく分かっている。

ゆえに気まずそうに、歯切れの悪い口調ながらも次から次にネガティブな情報を伝えてくる。
その中の一つが、そもそもの構想にあまりにも大きな打撃を加えるものだった。
構造上、階段を想定している部分に“柱”が必要・・・
俺の「蔵」構想は、以下のとおりだった。

リビングの奥に、「蔵」が左右に2つ。
その間に階段があり、「蔵」の上の子供部屋にアクセスできる。
だが、ヘーベルハウスが定める構造のレギュレーション的には ───
強度的に、この階段の始点に当たる場所に“構造柱”を入れなければならないという。

言うまでもなく、こんな場所に柱が来てしまっては、階段として機能しない。
となると、階段を左右どちらかにずらす必要が出てしまう。
階段の幅は、人が通るためには最低でも70cmは必要なので、左右どちらかの「蔵」および子供部屋が、70cmほど狭くならざるを得ない。
ヘーベルハウスの提案としては、この柱を境に左右に階段をそれぞれ設けるというものだった。

柱から奥に向かって左右を間仕切る壁をつくる。
つまり、左右の子供部屋にそれぞれ専用の階段が付くという構造。
ただでさえ限りがある床面積なのに、そんな贅沢ができるものか。
だが、問題の本質はそんな矮小化した箇所ではなかった。
この「蔵」計画を、もっと根底からひっくり返すようなところにあったのだ。
「蔵」の上は部屋として成立するのか?
上述のとおり、彼らは頑なに展開図の提出を拒否してくるので、こうなったら自分でシミュレーションしてみることにした。

窓際に立ち、ヘーベルハウスの天井高“2.4m”に対し、「蔵」の天井高“1.4m”と、その上に来る子供部屋の床板の高さを想定し、Lハットの勾配屋根(天井)をマスキングテープで貼ってみる。
すると、どうだろう。
Lハットの屋根の“起点”になる部分(写真の左側)は、どう頑張っても成人が立つことなどできない高さしかなく、予想していたとおり居室ではなく「屋根裏」サイズ・・・・
念のため図面を引いて、正確な寸法を追ってみると ───

Lハットの起点となる部分は、天井高が“80cm”しかなかった・・・・
屋根裏ないし「ロフト」サイズだ。
「ドラえもん」の寝床である押入れと同じくらいの空間なんじゃないか。
しかも、これは単なる「天井が低い」という件では終わらない大きな問題をはらんでいた。


この屋根裏サイズの子供部屋に、どうやって出入りするんだ?
上述の「階段をどう設置するか」以前の問題。
部屋のドアをどこに付けるのか。
そこで、最低限の寸法である「高さ180cm × 幅70cm」のドアをプロットしてみると ───

ドアが収まらないじゃないか。
階段がリビング側に突き出ないよう、「蔵」と子供部屋の間口サイズに収めようとすると、ドアはこの位置までセットバックしなければならないのだが、もはや解決策など考える余地もないくらい物理的に無理な取り回しである。
では、ドアがギリギリ収まる場所までスライドしてみると、どうなるのか ───

今度は階段がリビングに大きく突き出してしまう。
しかも、160cm以上も。
平均的な身長の女性が1人、常にここに寝転んでいるくらい場所を取るではないか。
この不都合な真実と、上述のヘーベルハウスからの「階段を左右に2つ設ける」という“解決策”を掛け合わせると、こんなことになるのだ。

「蔵」と子供部屋のブロックから、2つの階段がリビングダイニングに思い切り突き出してくる。
LDKが階段に占拠されるくらいのイメージだ。
このリビングダイニングに突き出す2つの階段を、平面図に落とし込むとこうなる。

「階段①」はダイニングテーブルの場所に完全に掛かってしまい、これでは「階段のために食卓が置けない」という、LDKの“D”を否定するようなことになる。
「階段②」も同じようにダイニングテーブルに掛かり、且つソファの真横まで伸びてくる。

こうして、現状のプランでは「蔵」どころか生活自体が成り立たないという“不都合な真実”があぶり出されてしまったのだった。
つづく・・・・
4年前の今頃はこんな不毛な打ち合わせや確認に時間を割いてたんだな。懐かしい思い出だが
コメント
これは困りましたね〜
せっかくのヘーベルハウスなのに。
蔵も作れると思っていたのに。
ヘーベルハウスの方、これは無理だなと思ってなかったのかな。
こちらが指摘しなかったら、屋根裏部屋みたいな子供部屋が出来ていて、完成した所で気がついていたって事⁉️
もしくは、せりだした階段にリビングが占領されてたって事⁉️
怖い😱
平面図はヘーベルハウスが書いたものでしょうか。
動物が寝ていて可愛いです。
そうなんすよ、平面図はヘーベルハウスが描いたものです。
「究極のペット共生住宅」ってテーマだったから意識したんでしょうね(笑)
局長さんの希望を入れた図面を引いた時点で
ヘーベルハウス側はこのことに気づいていましたよね。
その上、後出しで柱の話を持ってくるなんて呆れました。
子供部屋への入り口の話は呆れを通り越して笑えてきました。
図面ってミリ単位で書かれるから、素人には広さとか高さとの数字を見ても
ピンとこないんですよ。
だから相手を疑わないというか、言われるままで信じてしまうというか。
でも、局長さんがそういうことに知識があって、ちゃんと検証する人で
本当によかったです。
こんな状態で契約を急がせるなんて、なんか腹立つ!
同じくらいの時期に家を建てたつばめさんなら分かってくれると思いましたよ(笑)
こんなの俺じゃなかったら強引に契約まで持ち込まれていたかもしれないですよね。